サービス向上を追い求めたSuica・ICカード自動改札機開発ストーリー

サービス向上を追い求めたSuica・ICカード自動改札機開発ストーリー

サービス向上を追い求めたSuica・ICカード自動改札機開発ストーリー

 

今回はJRが作った世界最大規模のICカード自動改札機システムの開発ストーリーをご紹介します。
 


 
 
 

概要

 
JRになる前の国鉄時代、国鉄のいち研究員である三木さんがICカード自動改札機の開発を始めました。三木さんは、このシステムが実現すれば、「鉄道とお客様の関係が変わる」、「駅の在り方が変わる」と考えました。

しかし開発は思うように進まず、実用化までには16年もの月日がかかりました。この16年の間には、国鉄解体や費用の問題、実用化3日前のトラブルなど、多くの問題が発生しました。

ICカードはJRのサービスを変えるという強い信念をもち、世界最大規模のビッグプロジェクトを成功させたJRのSuica・ICカード自動改札機開発ストーリーをご紹介します。
 
 
 

それだけ持てば街に出られるICカードを作りたいと思った

 
昭和50年代、国鉄の研究員である三木さんはあるカード技術に注目していました。それは、膨大な情報が記録できるICチップを埋め込んだカードです。

三木さんはこれを鉄道にも活かせないかと思いを巡らせていました。
ICは無線で情報を送信することができるため、このカードをかざすだけで通れるゲートがあれば、今の駅の混雑を大幅な緩和に貢献することができます。三木さんは、このカードが実現できれば「鉄道とお客様の関係が変わる」、「駅の在り方が変わる」と考えました。
 


 
 
 

強力な助っ人参上!ソニーと共同でのICカード自動改札機の開発が始まった

 
昭和60年、ソニーとの共同開発でICカード自動改札機の開発が始まりました。ソニーはこれまでに物流関連のICカードの開発実績があり、開発力のある強力な助っ人として歓迎されました。

そして、ICカードやカード読み取り機はもちろん、ICを動かすためのバッテリーの薄型化、高速な情報処理速度の実現、混雑時にも誤作動を起こさないシステムの開発など、ありとあらゆる技術開発が行われました。

しかし、開発チームは大きな壁にぶつかることとなりました。
 
 
 

【転機】国鉄が解体し、配置転換や経費削減などの大改革が行われた

 
昭和62年、37兆円もの負債を抱えて国鉄が解体してしまったのです。
国鉄解体後は6つのJRに分割され、3万9千人もの人が退職しました。残った従業員にも大規模な配置転換が行われ、去るも地獄、残るも地獄というような大改革が行われました。

研究員である三木さんは、なんとかICカード自動改札機の開発を続けることができましたが、経費削減と他部署からの皮肉に耐える日々が続きました。

そして、三木さんに更に追い打ちをかける出来事が起こりました。
 


 
 
 

磁気式自動改札機の導入を決め、ソニーがICカード自動改札機の開発から撤退

 
平成2年、JRが磁気式自動改札機の導入を決めてしまいました。このままではICカード自動改札機が入り込む余地が無くなってしまいます。

そして、ソニーはこのプロジェクトからの撤退という経営判断を下しました。三木さんは、ソニーの担当者からこのように言われたそうです。
「民間は厳しいのです。開発の継続には将来JRが我が社のICを必ず導入すると確約書を書いていただかねば。」と。

いち研究員である三木さんがそのような確約書なんて用意できるはずもありませんでした。
 
 
 

三木さんは諦めずにICカード自動改札機の開発を続けた

 
しかし、三木さんは諦めずにICカード自動改札機の開発を続けました。ですが、自分たちだけではなかなか開発が進まず苦戦していました。

そんな時、三木さんは知り合いの商社マンから香港でのカードの競争入札の話を聞きました。香港では、地理的にバス、地下鉄、船などの交通が入り乱れており、この全てを乗り降りできる共通のカードを求めていたのです。

三木さんはこれは大きなビジネスチャンスだと考えました。
「ソニーがこのチャンスを知れば、必ずICカードの開発を再開する。もし香港にソニーのICカードが入れば再びICカード自動改札機の開発にもチャンスが来る。」

そう考えた三木さんは、すぐにソニーの担当者にその話を持ち掛けました。ソニーの担当者は、旧国鉄の人間がビジネスの話を持ってきたととても驚き、その真剣さを感じました。
 


 
 
 

ソニー上層部が香港での入札参加を決定し、ICカード開発を再開

 
平成4年、ソニーの上層部は、三木さんが持ってきた話(香港でのカード入札)への参加を決定しました。そして、ソニーの技術者たちは香港での入札用のICカードの開発を開始しました。
 
 
 

同じ頃、三木さんはJR東日本の駅施設管理責任者に協力を求めた

 
ソニーが香港の入札用にICカードの開発を始めた頃、三木さんはICカード自動改札機の導入を実現できると信じ、JR東日本の駅施設管理責任者である椎橋さんに協力を求めに行きました。

ICカード自動改札機の実用化をするには実際の駅を使った試験が欠かせません。椎橋さんは三木さんの話を聞き、駅のサービスそのものに革命を起こすICカードの開発に大きな魅力を感じました。椎橋さんは、お客様のサービスに結び付けられたらおもしろいと思い、三木さんと組んでみたいと思いました。
 
 
 

13の駅に試験用のICカード自動改札機を設置することができた

 
椎橋さんの協力を得て、平成7年、13の駅に試験用のICカード自動改札機を設置することに成功しました。そして、JRの社員700人の開発中のICカードを配布し、定期券として通勤で使ってもらうという試験が行われました。

しかし、試験開始から間もなく、ゲートが開かないというトラブルが続出してしまいました。
また、5か月後にはICカードそのものに異常が起きるトラブルも発生しました。

・ゲートが開かないトラブル
 カードのかざし方が人それぞれで、ICチップの電波が届かずにゲートが開かないことが多々あった

・ICカードそのものの異常
 乾燥した季節になり、ICに内蔵したバッテリーを動かすための電解液が蒸発してしまった
 

JR役員からは、「俺のカード、5打数で1安打だ」と言われ、カードを突き返されてしまいました。
 
 
 

救世主登場!ソニーの技術者達がやってきた

 
試験開始からトラブル続きだった試験用のICカード自動改札機でしたが、ソニーの技術者達の登場により、電解液が蒸発するというICカードそのものの問題を解決することができました。

ソニーの技術者達は香港での入札用に開発したICカードを提示しました。
そのカードはなんとバッテリー不要のカードだったのです。

中にはコイルが埋め込まれており、カードが自動改札機から電波を受け取るとその都度電力が発生する仕組みになっています。この技術を導入することにより、電解液が蒸発する問題をクリアすることができました。

もう一つの問題であるゲートが開かないトラブルについては、乗客がゲートを通過するときに機械にカードをかざす「タッチアンドゴー」によって解決しました。一目見てICカードをタッチするのだと分かるようなデザインを取り入れ、乗客のカードのかざし方が統一されるような設計にしたのです。
 


 
 
 

問題は解決したものの、実用化には莫大な資金が必要になる

 
ICカード自動改札機の問題はクリアになったものの、実用化するには莫大な資金がかかります。ICカード自動改札機は首都圏の400以上の駅に設置できて初めてその機能を発揮します。

しかし、設置にかかる経費は400億円以上にもなり、これは会社の経常利益のおよそ半分に相当する金額でした。国鉄解体(民営化)から10年、経費削減に血眼になっているJRがこの自動改札機の導入にOKを出すのかが問題でした。

しかも、磁気式の自動改札機が導入されてまだ7年しか経過していなかったため、ICカード自動改札機を導入するという経営判断を下すとは考えにくかったのです。
 
 
 

駅施設管理責任者である椎橋さんは徹底したコスト計算を行った

 
駅施設管理責任者である椎橋さんは、磁気式の自動改札機をICカード自動改札機に入れ替えるメリットを探していました。ICカード自動改札機の導入コスト、メンテナンスコストなどが導入に釣り合うかどうかを経営陣にアピールする必要があります。

椎橋さんは部下に、磁気式の自動改札機にかかるコストを1円単位まで計算するように指示しました。担当者は磁気式自動改札機に使われる切符の紙代、部品の交換コスト、磁気式自動改札そのもののコストなどを計算し続け、1年にもの間、来る日も来る日も計算し続けました。
 


 
 
 

ICカード自動改札機を審議する常務会が開かれた

 
平成11年、JR本社でICカード自動改札機の審議を行うための常務会が開かれました。経営陣が並び、そこで椎橋さんは1年がかりで計算したデータを発表しました。

計算の結果、ICカード自動改札機を導入することで、今使われている磁気式自動改札機よりもコストを30%も削減できることが証明されたのです。
しかも、ICカードは電子マネーとして使うことができ、乗客の財布代わりにもなるという新しいサービスの提供も可能になります。駅の売店やレストランなどで使えるようになれば、ICカードの利用者も一気に増えるはずです。

これにはJRの経営陣も驚き、経営陣は全会一致でICカード導入を決めました。
 
 
 

2年後のICカード自動改札機運用開始に向けて膨大な試験を実施

 
ICカード自動改札機の運用開始が2年後の平成13年秋と決まり、椎橋さんは800人を超えるプロジェクトのリーダーを任されました。

首都圏の400を超える駅、3000以上の改札口にICカード自動改札機を設置する世界最大級のシステムです。カードは乗客の財布と同じ機能を持ち、決して間違いが許されない緊迫した開発となりました。

実用化に向けて徹底した試験を実施し、27000パターン乗車区間で料金に間違いがないかのチェックや、カードに記録される乗客の金銭データに間違いがないか、更に停電時のシステムダウンでデータが消えないかなど、気が遠くなる量のテストを行いました。
 
 
 

なんと!運用開始3日前にプログラムのミスが発覚

 
平成13年、ICカード自動改札機の運用開始まであと3日というところで、なんとプログラムのミスが発覚しました。駅には既に3000台の改札機が設置された後のことでした。

プログラムのミスは、浅草橋駅での料金表示に誤作動が起きるということでした。群馬の倉賀野駅から浅草橋まで、通常1620円の料金区間を270円も多く取ってしまっていたのです。料金が間違って取られてしまうという致命的なミスが起き、技術者達は焦りました。

鉄道のプログラムはかなり複雑なもののため、一か所を治せば他の料金表示に不具合が生じてしまう可能性もありました。運用開始までとにかく時間がありませんでしたが、技術者達は徹夜でプログラムを修正し、浅草橋駅を拠点とした1000に及ぶ区間のテストをやり直しました。
 
 
 

2001年11月18日、ICカード自動改札機の運用がスタート

 
いよいよICカード自動改札機の運用がスタートしました。
ICカードの名前は、スイスイ駅を通れるSuicaに決定。

424の駅で一斉に運用が始まり、技術者達はトラブルが起きないように祈りました。

そして運用開始から17時間後、椎橋さんの電話が鳴り、無事山手線最終列車が運行を終えたという報告が入りました。トラブルは起きず、無事ICカード自動改札機の導入に成功したのでした。
 

旧国鉄のいち研究員である三木さんが、ICカードの開発を始めてから16年、ようやくICカードとICカード自動改札機の導入に成功したのです。そして、Suicaの利便性の高さから、利用者は爆発的に増えました。
 


 
 
 

感想

 
16年頑張り続けた技術者がスゴイ!

ICカードはJRのサービスを変えるという強い信念をもち、16年もの長い期間開発を行ってきた技術者達の気持ちがスゴイと思いました。感動しました。
ちなみに、ICカード自動改札機を審議する常務会の日が、研究員の三木さんの定年退職の日だったそうです。なんだか運命を感じますよね。ジーンときました!
 

私も何か大きなことがしたい!

こういう心に響くようなストーリーを知ると、自分には何ができるのかな~って思っちゃいますね。強い気持ちがあればなんだってできるんだろうな~きっと。
技術者たちの気持ちの強さに感動し、私も何か大きなことがしたいと思いましたね(笑)
 

そして私は考えた

何がしたいのかは今のところ見当もつきませんが、何をするにしても資金が必要ですし、今のうちに集めておこうと思います。飛躍(笑) けど、あまり取り柄のない一般人ができることってあるのかな、と思ったので色々と調べてみました。何か大きなことがしたい人は是非色々読んでみてください(笑)

>>記事作成中

 

 

 

 


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