主婦の心をつかんだ象印のコンパクトホームベーカリー開発ストーリー

主婦の心をつかんだ象印のコンパクトホームベーカリー開発ストーリー

 


 
 
 

あらすじ

 
ホームベーカリーは昭和62年に誕生し、意外と歴史のある家電製品です。家庭で焼き立てのパンが食べられるということから一時はブームになりましたが、使い勝手の悪さからホームベーカリー市場は低迷していました。

平成に入り、健康志向の高まりから再度ホームベーカリー市場が注目されましたが、今回のホームベーカリー開発ストーリーの主役である象印は、ホームベーカリー市場のシェアを伸ばせずにいました。そこで、象印は革新的なホームベーカリーを作るということで、ホームベーカリーの小型化、静音化に取り組みました。開発はうまくいくことばかりではありませんでしたが、研究に研究を重ね、新しいホームベーカリーの商品化に成功しました。
 
 
 

ホームベーカリーの歴史

 
知らない人も多いのですが、ホームベーカリーは、実は昭和62年に誕生した歴史ある商品です。昭和62年に誕生したときにもかなりヒットしましたが、使い勝手の悪さなどからブームは一時的なもので終わってしまいました。

ここ最近は食の安全性や健康への関心が高まったことによってホームベーカリー市場は回復傾向にありました。ここ数年で、再度ホームベーカリーのブームが到来し、家庭で焼き立てのパンが食べられるというコンセプトが多く支持されました。しかし、ホームベーカリー市場は大手メーカーが50%近くのシェアを占めており、このストーリーの主役である象印はシェアを伸ばせずに苦戦していました。
 
 
 

象印がホームベーカリー市場のシェアを伸ばすために考えたこと

 
象印は、ホームベーカリー市場のシェアを伸ばすには主婦の心をつかむ魅力的な商品を開発するしかないと考えました。そしてたどり着いたのが、ホームベーカリーを小型化してはどうかという案でした。当時のホームベーカリーのサイズは大きく、置き場所に困るという欠点がありました。

顧客からも小型化を望む声があったため、開発技術者は消費者ニーズに合った小さなホームベーカリーを作りたいと考えました。そして平成11年に、ホームベーカリーの小型化に向けて開発が始まりました。
 

 
 
 

ホームベーカリーの小型化は難しかった

 
従来のホームベーカリーは、モーターをパンケース(パンを焼くところ)の横に設置する構造になっており、どうしても幅をとってしまっていました。そこで、技術者たちはパンケースの下にモーターを設置して幅を小さくする構造にしようとしました。

しかし、縦型の構造には大きな問題点がありました。これまで、モーターの回転軸に距離があることで安定的にトルク(力)を伝えることができていましたが、それが近くなることでうまくトルク(力)が伝わりにくくなってしまいました。また、横幅は小さくすることができても、高さが高くなりすぎてしまうという問題点がありました。
 
 
 

ようやく小型化が形になってきたところで上司から厳しい指摘

 
何度も何度も図面を作り直し、ようやく構造上も形になってきたところで、上司からの厳しい指摘がありました。
「ただ細長くなっただけじゃないか」と。

そして具体的な数字を提示され、高さは30センチほど、大きさは他社製品の60%にするように指示がありました。技術者たちはこの無謀な小型化に応えるため、徹底的に省スペース化をはかりました。小型化することによって使い辛くならないようにハンドルを取り付けるなどの工夫も凝らしました。そしてようやく、上司からの指示である60%の小型化を実現することができました。
 

 
 
 

小型化には成功したが、もう一つの問題が発生

 
平成13年、商品企画担当者は超小型ホームベーカリーの商品化に向けて企画をしていた。実際に主婦の意見を聞いて、ホームベーカリーが欲しい主婦は多いものの、大きくて重たくて使いにくいという意見があることが分かりました。ホームベーカリーは欲しいけど使い勝手が悪くて使っていない、または購入していない人がかなりいました。また、このときにもう一つの問題点に気づくこととなりました。

もう一つの問題というのが、ホームベーカリーの音が大きく、うるさいということでした。朝、焼き立てのパンを食べるには夜の間にホームベーカリーを作動させる必要があります。夜中にホームベーカリーの音がうるさいので使えないというのは大問題であることから、静音化に向けての開発が始まりました。
 
 
 

ホームベーカリーの静音化は構造上難しかった

 
騒音を減らすために、まずは今の構造を観察することから始めました。

小型化するために回転軸を増やしたことによって、従来品より更に大きな音が出てしまうことが分かりました。技術者達は、回転軸を回すためのベルトの幅を変更したり、材質や摩擦の度合いを変え、何度も何度もテストを試みました。ベルトの素材と幅を変えることで音を小さくすることができましたが、ベルトを太くすることによってせっかく小型化した構造が大きくなってしまいました。
 

 
 
 

小型化も静音化もどちらも実現するために研究を重ねた

 
悩みに悩み、小型化したホームベーカリーの構造は極力変えず、ベルトの太さや素材などを微調整しまくって何度も何度もテストを行いました。素材にもこだわり、ベルトが太くなりすぎないように細かく調整し、研究に研究を重ねた結果、ようやく小型化と静音化に成功しました。

象印が開発したホームベーカリーは、従来機種に比べて60%のサイズに小型化し、音も従来機種より9デシベルも低い48デシベルまで静音化することができました。
 
 
 

小型化・静音化されたホームベーカリーは主婦の心をつかんだ

 
平成14年、象印は業界一コンパクトなホームベーカリーを発売しました。小型化、静音化し、更にメニューの数や機能も増やし、これまでのホームベーカリーのイメージを一新する画期的なホームベーカリーと言われました。

従来の大型のものではなく、卓上で使えることをコンセプトにした超小型ホームベーカリーの登場で、主婦の心をガッチリと掴むことができ、象印はホームベーカリー市場のシェアを拡大することに成功しました。象印のホームベーカリー開発プロジェクトは成功したということですね。
 


 
 
 

感想

 
今回書いた象印のホームベーカリー開発ストーリーは、普通の開発っちゃ普通の開発なんですけど、象印の商品ってすごく良いものが多いな~と思っていたのでどんな開発が行われているのか気になって調べてみました。
 

ビジネスのあるべき姿だと思う!

お客様の声を実際に聞いて、改善点をしっかりと確認し、ニーズに沿った商品をしっかりと開発していました。ビジネスのあるべき姿(原点)が分かりやすく反映されているプロジェクトだな~と思ったので書いてみました~。
 

私もビジネスしたい!

私も働いていますが、こういうビジネスをやってみたいな~と思いました。けど、あまり取り柄のない一般人ができるお金儲けの方法ってあるのかな、と思ったので色々と調べてみました。何か大きなことがしたい人は是非読んでみてください(笑)

 
 
 
 
 


おすすめの記事